桜侍（おうじ）くんとのお別れ１０

 

　　桜侍くんは、推定１４歳の時に

　　保健所に保護されて

　　元の飼い主さんから見放されて

　　お迎えにも来てもらえなかった子だから

　　保健所にいたときは

　　きっと、不安で、心細くて

　　怖くて怖くて仕方がなかったと思う

　　だから

　　私がちゃんと最後まで責任をもって

　　そばにいてあげなきゃいけなかったのに・・・

　　いろんな事から守ってあげて

　　穏やかで安心な、温かい愛情に包まれた毎日を

　　送らせてあげなくちゃいけなかったのに・・・

　　最後の最後で・・・

　　自分が情けなさすぎる・・・

　　バカな自分を腹立たしく思う

　　どうして桜侍くんの介護の毎日が

　　１日１日最後の日だと思って過ごさなかったんだろう・・・

　　桜侍くんには、本当に申し訳ないことをした・・・

　　あんなにかわいい子を・・

　　あんなにいい子を・・・

　　ひとりでさみしく逝かせてしまった・・・

　　不安だっただろうな・・・

　　怖かっただろうな・・・

　　私がまた裏切ってしまった・・・

　　私がまたひどい仕打ちをしてしまった・・・

　　もう、挽回のチャンスはない・・・

　　

　　病気で衰弱していたわけでもなく

　　ちゃんとご飯も食べてたし

　　立って歩いてたし

　　おしっこだって自分でできてた

　　あの日、桜侍くんも自分自身

　　旅立つとは思っていなかったんじゃないかな・・・

　　きっと

　　桜侍くんのタイミングじゃなかったと思う・・・

　　突然の「死」

　　突然の「お別れ」

　　桜侍くんは納得しているのかな・・・